されどWoody Allen

家族が留守の数日間、いくつかの映画を観た。

ジャームッシュのOnly Lovers Left Alive で初日を飾ろうと楽しみしていたのに、DVD機が繋がっていない。Tunerの裏側を覗くと、subwooferとかサウンドバーとか、そのほかいろんな音響機器のコードが複雑に絡みあっている。しばらくジロジロと不躾な視線を投げかけてみたが、さっぱりだ。夫に電話したが、口頭での説明では分かりかねる。

そんなわけで、電話交換手への道はあっけなく閉ざされてしまったわけだが、気を取り直してAmazonストリーミングを利用することにした。いつも操作している夫の説明を聞きながら、なんとか準備が整った。

ところが、やっと観られると思ったのも束の間、わたしのお目当ての映画を観るには、手続きを踏まねばならないことが判明した。有料なのは構わないが、Amazon のウェブサイトからログインして云々…  なんだかめんどくさいので、クリックひとつですぐに観られるものの中から選択し、リストに加えていった。

その枠内に、Woody Allenの映画がいくつかある。驚いた。

過去の疑惑が何年か前に再び取り上げられ、俗にいうキャンセル・カルチャーのターゲットとなり、エンタメ業界から締め出されていた。ストリーミングサービス会社からも契約破棄されたと聞いた覚えがある。私自身、ちょうどRainy Day in New Yorkのクランクインが話題になっていた頃、嫌疑のことを再び取り上げた記事を拾い読みして以来、アレン映画は避けていた。便乗効果狙いのさもしい記事を真に受けたわけではない。避けるに至った理由は、血の繋がりはなくとも父親だった人に嫌疑をかけたことによって、メディアにあることないこと書かれて追い回され、特をするどころか、むしろ荊棘の道を歩んだのではなかったのかと察するに、告発者が嘘をついているとは思えないからだ。それに、幼い子供が思いつくとは考えられない嫌疑内容は、いくら証拠不十分でcase closedになったとはいえ、ハイソウデスカとアレンの潔白を簡単に信じることに疑問を感じざるを得ない。

アレンが若い年頃の女性や、童顔や幼い雰囲気を持つ女性が好みなのであろうことは、彼のパートナー歴を見れば察しがつく。『Manhattan』では、中年男と女子高生の恋愛を描いている。

彼の現在の奥方は、かつてのパートナー、ミア・ファローの養子で、アレンとは義理の父娘だった。そのことについては、最終的には結婚したのだから、誰に文句いわれる筋合はない。マクロン大統領は、彼がまだ少年だった頃に出会った、かなり年上の元家庭教師の女性と結婚している。年の差婚など、取り立てて騒ぐほどのことでもなかろう。

閑話休題。真実がどうであれ、作品に罪はないと思い直し、Rainy Day in New York、Deconstructing Harry、Manhattan をリストに加えた。

Manhattanは、昔一度観た。英語の聞き取り練習に1日1本以上映画を観ることを自らに課していた頃に観たので、当時は聞き流して映像を楽しんだだけだった。今回じっくりと観て、アレンの才腕と唯一無二のセンスにあらためて脱帽した。テンポ良く早口でまくし立てるニューヨーカー英語にピタリとマッチする冴えたスクリプト。ロケ地の選択。優れた編集力。映像美。インテリアの隅々に至るまでのこだわり。彼の繊細な感性が、押し付けがましくなく、極さりげなく散りばめられている。そのこなれ感がまた心憎い。

Rainy Day in New Yorkをまだご覧になっていない方は、ここから先は読まない方がいいでしょう。ただし、記事の最後にあるティモシー・シャラメのピアノ弾き語り映像は必見ですよ。

あいかわらずのアレン節健在で、全体的に好きか嫌いか言わねばならないとしたら、迷わず好きと答える。だが、雨のシーンの背景に晴れているのが何度か写り込んでいるのが、どうにも気になった。こだわりの強いアレンらしくない。例の疑惑が影響し、バジェットに以前のような余裕がなく、撮り直しできなかったのだろうかと裏事情を想像し、映画にいまひとつ浸りきれなかったのが残念であった。それでも、趣きのある部屋やアイコニックなレストランをさりげなく背景にとり入れているところなど、アレンの生まれ育ったニューヨークへのラブレターであり、現代版Manhattanといえる仕上がり。否が応でも、そう、疑惑についてのモヤモヤが晴れていなくとも、惹きこまれてしまう。

されど、ウッディ・アレン。

Deconstructing Harryは、次回1人の夜にために楽しみにとってある。

Timothée Chalamet – Everything Happens to Me 『Rainy Day in New York』より
この景色を見てすぐにピンときたそこのあなた!合格

この景色を自分の目で見たくなり、映画を観た翌日イーストサイドへ。自宅から、わりと近かった。

思い立って咄嗟に引っ掴んで持参したカメラにくっついていたのは85mm。ワイドレンズで撮ると、『Manhattan』のシーンにもっと近い画像になるのだろうか。道路標識のポールの位置が当時と違い、ベンチは置かれていない。この場所は、この下にあるちょっとした公園へ続くスロープの入り口になっていて、元々ベンチが置かれていたようには見えない。撮影用に用意したのか?

それにしても、ブルックリンブリッジだとばかり思い込んでいたのに、クイーンズボロブリッジだったとは。

4 Replies to “されどWoody Allen”

  1. とんと聞かなくなったウディ・アレンというおしゃれな映像のアイコンー若かった頃の自分にとってという意味ですがーの名前を再び目にするとは思いもよりませんでした。正直、すっかり忘れていました。映像がよくても、セリフの細かなところも背景もよく分からなかったというのが本当のところで、きっと今見ても分からないんだろうなと。

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    1. ご訪問・コメントありがとうございます。
      セリフの細かなところなどは、知らないスラングやイディオムがあると、わかりづらいですよね。日本語でも、ニュアンスを伝える目的やユーモアで特定の言葉遣いをしますが、日本の文化を理解していない人には、よくわからないところがあるかと思います。「惚れてまうやろ」とか、「ぶった斬る」なんてちょっと乱暴な言いまわしとか、辞書で意味を知ることはできても、会話の流れの絶妙なタイミングで使うことによる面白みを理解するのは、ネイティブでないと難しいというのは、わたし自身よく実感することです。
      アレンの他の古い映画はどうか知りませんが、Manhattan は年をとってからのほうがより楽しめたことは確かです。

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    2. 長々と書いたわりには、何を言いたかったのか自分でもよくわかりません。
      tagnoue さんは英語のベースを既にお持ちで、アプリはインストールされているわけですから、あとは使い慣れるのみ、なのでは?

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      1. 言葉は使い慣れることが一番ですね。しかも楽しんだり怒ったり悲しんだりと言った感情と共に慣れるのが良い気もします。英語は未だに仕事の道具のレベルから抜け出せませんが、そのうちウディアレンも分かる様になるでしょう。そう思う事にします。

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