先週と先々週は、Pride Dayと独立記念日で賑やかな2週間だった。
Pride Dayとは、性的少数派(ヘテロセクシャル以外の性を持つ人々)の文化とその誇りを祝い称えるイベントで、6月の最終日曜にパレードが開催される。毎年Pride 月間である6月になると、ゲイ人権運動発祥地であるこの街にLGBTQの彼ら彼女らが世界中から続々と集まってくるのだ。ゲイの人々が多く住まう地域に自宅があるので、近所がいつになく活気づくこの時期は、わたしまで浮かれ気分になる。
サンフランシスコ在住時代はゲイの友人達に囲まれていた。女ともだちといるときには気を使って言わないことも言えるところなど、彼らといるのは楽しかった。あの頃のまだ子供っぽい頼りない私は、彼らに育てられたといっても過言ではない。
「いい?そのへんの男で手を打っちゃダメよ?」など、母の手で育てられていたなら、恐らくもっと早くに教わっていたかもしれないことや、ボーイフレンドについての客観的な意見など、男性でもある彼ら目線による時には厳しいアドバイスの数々は、とんでもなく貴重なものばかりだった。
独立記念日の連休は、ダウンタウン方面に用事があって出かけたが、いまは仕事が入っていることもあり、コロナもいまいち油断がならない状況だし、あんまり出歩かず、おとなしくしていた。今年の花火はイーストリバー上で打ち上げられ、テレビで鑑賞した。
そういえば!久々にSOHOエリアを歩いていたら、なぜだかわからないがカフェに座っている人の顔に視線が吸い寄せられた。その長い白髪の女性は、悟りの境地に達したかのような表情で遠くを見つめていた。あれ、だれだったっけあの人。。。と一瞬考え、すぐに誰かわかった。Patti Smith。ニューヨークの音楽全盛期をリードした伝説のシンガー・詩人。ほんとうは握手してほしかったけど、プライベートな時間の邪魔をしたくなかったので、そのまま足早に通り過ぎた。ファンといっても彼女にとって私は見ず知らずの他人でしかない。会いたければ、コンサートに行けばいい。
ニューヨークの住人になってから、ロバート・デニーロとかエイドリアン・ブローディ、ユマ・サーマン、それからダニエル・ラドクリフ、若手ではティモシー・シャラメが育ったのが近所だったとかで、たぶん今も彼の友達が住んでいるのだろう、何度か見かけたことがあるが、いずれの時も、ああ、いるな、と思うだけであった。ところがPatti Smithを見かけたときは全然違っていた。気持ちが高揚していることを歩きながらジワジワと実感し、あまりにも嬉しくてソワソワ落ち着かないような気分を久々に味わったのだった。
夏ははじまったばかり。the beat goes on







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