雨の降る日に

先週末は2日間とも雨だった。昼間だというのに蒼暗く、もうすぐ夏だというのに肌寒い、理想的な雨の日。刻一刻と室内を染めゆく雨の気配に浸りながら、時折サァー、サァーと走り去る車のタイヤに弾かれる雨水の音色に聴き入る。

コロナで夫が24時間毎日家にいるようなって1年あまり、静まり返った部屋で独りこんなふうにして雨音に浸る機会がなかったことに気づいた。ニューヨークの片隅にひっそり佇む古い建物の一室で猫たちと水入らず暮らした遠い日々に想いを馳せる。

自由業の身には、曜日はあまり関係ない。クライアントが会社勤めなので、連絡のやり取りが週日に集中してはいるが、仕事が片付くまで毎日が週日、仕事がなければ毎日が週末になる。どちらにせよ朝方まで起きていることが多いので、1日を始めるのはだいたい昼近くだ。昼ごろに外出予定が入っている日は、わたし的には早起きの日となる。

ニューヨークは、来週いよいよ再開に漕ぎ着ける。それに先駆け、旅行者への無料ワクチン提供が先週開始された。間髪を入れず、今週から全ての人々へ無料ワクチン提供が地下鉄駅など街角の至るところで始動した。これで保険を持たない人や不法滞在の人々も自由にワクチンを受けられる。

昨晩立ち寄った近所の日本の居酒屋で、いつも受付にいた男性の消息を尋ねた。すると、その受付の人を含めた店員達の大半が仕事復帰を拒否しているという。理由はコロナ感染を恐れてとのことだが、ワクチン提供開始から数ヶ月経過した今は辻褄があわない。現在、アメリカ国内の飲食業界の人手不足は深刻な問題だ。今まで何とかサバイブしてきた飲食店がいよいよ営業再開となるのに、肝心の働き手が不足しているのだ。収入源を最低賃金とチップに頼るワーカーにとって、国から受ける失業保険が働いて得る収入と同等どころか上回るケースが多い。バイデン政権が失業保険期間を延長したことで、仕事があるにも関わらず失業保険を引き続き受ける人々が更に激増した。バイデン政権は今までのところ何一つ国にとって役立つことをしていない。現に彼が大統領に就任してから物価が上昇し、株価も下がった。株価はまだしも、物価上昇は政権に問題があるから起こる現象であることは周知の事実。先が思いやられる。

ワクチンを1年以内に開発してみせると言い放ったトランプに、CDCのファウチ所長は絶対に無理、あり得ないと言い切り大反対した。だがトランプは、世間からの散々なバッシングに怯むことなく全責任は自分が負うことを前提に、大金を注ぎ込み早急なワクチン開発へと舵を切った。その結果が今の世界なのだ。それにも関わらず、ワクチンは自分の手柄だなどと明らかな嘘をメディアで吹聴しているバイデンには、やはり信用が置けない。トランプは問題発言も目立ったのは事実だが、やると言った事は必ず実現したこともまた事実である。その実行力には今もかわらず一目置いている。

ニューヨークのワクチン対象年齢が12歳〜となった。どれだけの数の子供たちが受けるのか見当もつかないが、ゼロということはまずないだろう。これでまた、コロナ以前に近い生活を送れる日々に一歩近づくことになる。かつてコロナのepicenterとなり、隣接国のカナダはもとより、アメリカ国内でもバイキン扱いされるという屈辱に、なす術もなく俯いて唇を噛み耐え忍ぶしかなかったニューヨーク市民。郊外のハンプトンやキャッツキル、ハドソンなどへ避難したニューヨーク市民が嫌がらせを受けることもあった。そんな1年4ヶ月にも及ぶ暗く長いトンネルを、ついに抜ける時が来たのだ。この街の人々を皆ギュッと抱きしめて褒めてあげたい。

少し前から既に飲食店の営業が24時まで延長され、屋内飲食の定員も75%まで許可され、ジムやダンススタジオも営業再開している。昨晩も火曜の夜だというのに飲食店やバーは賑わい、久しく耳にすることのなかったガヤガヤと人々のざわめく“ニューヨークの音”がそこかしこに漂っていて、心が浮きたった。

だがわたしは少なくとも2度目のワクチン接種を終える来週月曜まで、不要不急の外出を避ける自粛生活は今まで通り続ける。抗体を持ったからといっても致死率が低くなるのみで、感染率ゼロになるわけでも、コロナが地球上から消滅するわけでもない。当然、ウィルスを人に感染してしまう可能性も依然残るというわけだ。ワクチン接種後も手洗いやソーシャルディスタンス、人が密集した場所でのマスク着用など最低限のcautious を心がけることは、ニューヨークのデブラシオ市長が口を酸っぱくして訴え続けてきたbe smartでいるのに欠かせない条件であるのはかわりない。

何はともあれ、再開で以前の賑やかさを取り戻すことがニューヨークの治安改善に繋がることが個人的には1番の願い。街をただ歩いているだけでいきなり顔面や頭部をハンマーで殴打されるなどの被害に脅えることなく、以前のようにまた重たいカメラをぶら下げて街をのびのびと闊歩したい。

<本日の1曲> 近況写真日記は後に続く

Date Course Pentagon Royal Garden – S
霧が出ていなかったおかげで、Feedom Towerのてっぺんまで綺麗に見えた (Freedom Towerは9・11テロで崩壊したWorld Trade Center跡に建てられたビル)
レインコート
アンジェリーナ再訪
猫たちと親子水入らずで暮らしたアパート
何しろ戦前に建てられた建物なので、虫や鷹、幽霊なんかも時折様子を伺いにやってきたが、猫たちもいるし、そういうのには慣れているので特に気にせず快適に暮らした。戦時中は看護婦さんの寮だったらしい。夢に何度か登場した、ベッドルームの壁がベロンと捲れたところから、ギョロギョロした目で眠る筆者を覗き込んでいた白人男性は、兵士だったのかもしれないと今になって思い浮かんだ。
この子がうちにやって来たばかりの頃

2 Replies to “雨の降る日に”

  1. 先を行くアメリカやイギリスに倣えとばかりにEUは経済再開に舵を切りました。ワクチン接種が進んできたとはいえ、90%がイギリス変異株で人口6千万人に対して一日2万人が感染するフランスは、ワクチンが行き渡るのは秋。少し先を急ぎ過ぎなのは事実です。それだけ人が疲弊しているということでしょう。静かに過ごすしかありません。

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    1. 緩やかな再開が始まって少し経っても感染拡大していない最近のニューヨークを見ていると、人との距離を保つことを一人一人が気をつけることさえ守れれば、飲食店などの営業再開は実はもっと前に開始しても大丈夫だったのではないかと思い始めています。でも過去のスイスでの失敗もあるし、油断ならない変異株もジリジリと距離を縮めてきているし、やっぱりそんな単純な話ではないのかな。アメリカも無料でワクチン配るくらいなら、他の国に送ってあげたらいいのにと思います。

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