猫の腕枕 Robert Plant

久々の更新。

年始よりかかり切りだった仕事から漸く開放された。ここ数日は、猫の腕枕でお煎餅など齧りながら、何にもせず、何のタスクの心配もなく、流れゆく雲を眺めひたすらゴロゴロして過ごすひとときをしみじみと味わっている。

翻訳業から暫く遠ざかっていたので、なかなかエンジンがかからず、今回の仕事に取り掛かったばかりの頃は、それこそヒーヒー言いながら仕事をする苦しい毎日であった。だが、後半に差し掛かる頃には感覚を取り戻し、短距離走選手の如く集中して仕上げ、納期より5日早く納品することが出来た。更に良いことに、コロナ禍で昨年からかれこれ1年近く家に閉じ籠る日々のなか、家で夫と交わす日常会話がほぼ日本語になり、アメリカに暮らしていながら英語がうまく出てこないという事態に陥っていたのが、今回関わった英訳プロジェクトのお陰で、以前のような英語と日本語半々の日常会話に、いつのまにか戻っていた。

ちなみに筆者は考える時は英語だったり日本語だったりするが、翻訳は英訳が得意。高校まで日本で教育を受け、当時は英語が不得意で成績も芳しくなく、高校2年で英語かフランス語かの選択肢があったとき、迷わずフランス語を選択したというエピソードがあるほどに苦手科目であった。そういうわけで、英語は渡米後に現地で習得した。英和辞書ではなく、アメリカ人が使う国語辞典、いわゆる英英辞書で習得した言語なので、和訳は得意ではない。

高校2年当時、フランスといえばヌーベルバーグ映画以外に、フランス文化や言語に特段興味があったわけではなく、英語から逃げたいという浅はかな理由でフランス語を選択した。結果的には英語よりも難解なフランス語に四苦八苦することになるのだが、幸い、フランス語教師マダム・カトウの授業は、生徒の席に座る彼女を囲み、将来の夢や恋愛について語り合うようなものがほとんどだったので、気負わずリラックスして習うことが出来、フランス語を嫌いにならずに済んだ。

フランス語は、発音や単語ひとつひとつがとても美しい言語だ。話し声を聞いているだけで心地いい。だがいざ習うとなると、例えば女性名詞と男性名詞にirregularなものがあり、それらを習得するには暗記以外にオプションがないなどの不可解さを含むミステリアスな言語でもある。フランス語を習う前に、ラテン語の基礎を学んでから取り掛かると、とっつきやすい言語になると言語学者の方に聞いたことがあるが、実際に試していないので、本当のところはどうなのか知らない。

さて、2021年第一弾は、この大変な時代にも寄り添って心の支えになり続けてくれる音楽に纏わる内容でスタートを切りたい。

今回は、レッド・ゼッペリンのフロントマンRobert Plantの声について。

彼の歌声を初めて耳にした時の衝撃は、記憶に鮮明に焼き付いている。それほど強烈な体験だった。

それは、何本かのギターの弦が同時に鳴っているような、少しかすれているようでいて、かすれてはいなくて、高音だけど決して騒々しくない、黒人歌手並みの声量にブルースのリズム感を備え、ジャニス・ジョプリンの男性版、惹き込まれずにはいられない声。

現在72歳にして、その声量にもふわふわカーリーヘアにも全く衰えが見られないのは驚異的だが、若い頃ドラッグに溺れることのなかった結果であるといえば腑に落ちる。彼の世代のミュージシャンでドラッグに溺れなかったというのは、極めて稀な存在なのではないだろうか。

ハワード・スターンのインタビューで、「(ジミー・ペイジなどバンドメンバーがドラッグにハマっていたことについて)ドラッグやその使用者を否定はしない。自分自身は、昔少し試したが単に興味がわかなかっただけのこと」と答えていたのが、彼の姓の通りPlant(植物)のような、飄々としてhumbleな彼の人格が滲み出ているようで、印象深い。

どこかの記事だったか番組だったかで、ロバートがレッド・ゼッペリンにjoinした経緯について、ギタリストのジミー・ペイジが語っていた。アメリカのライブハウスをツアーで回るまでに活動範囲を広げていたジミーのバンドが、新しいボーカルを探していた時に知り合ったのが歌手志望のロバートだった。ロバートの歌声を聴き度肝を抜かれたが、こんなにパワフルな歌声の持主が、今まで誰にも発掘されず、ブルーカラーjob(肉体労働の類いの仕事)をしているのが信じ難く(ブルーカラーjob は立派な職業であり、否定しているわけではないことをお断りしておく)、それはおそらくロバートの人格に問題があるに違いないと思ったジミーは、彼を自宅に住まわせて様子を伺うことにした。だがジミーの不安は的中せず、ロバートの人柄の良さに惹かれ、すぐに意気投合し、レッドゼッペリン結成に至ったという。

才能に恵まれ、その才能が開花しセレブリティーになってもhumbleさを失わない。

才能だけでも惚れるのに、その上中身まで一流だなんて…!

信じられないほどの人格者キアヌ・リーブスに負けず劣らずなロバートの虜になったことは言うまでもない😻

ということで、記念すべき2021年はじめの『本日の1曲』は、この曲を。

Led Zeppelin – How Many More Times メンバーそれぞれが職人のように淡々と演奏をこなしている姿にシビレる

見てくれに構うことなく、どれだけ入り込んで表現できるか。それが真のアーティストの条件であり、オーディエンスの心を鷲掴みにするミュージシャンの特徴でもある。当人は見てくれに構わなくとも、その自然な動きが格好良い。なりふり構わず音楽に集中することによってしか出せないカッコ良さなのだ。I miss live music🥺

いつの日か必ずまたコンサートに行ける日々が戻る。それまでは、なんでも工夫してフレキシブルに過ごしていよう。

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