地味な独立記念日 男という生き物について思うこと

ニューヨーク恒例のメイシーズ主催独立記念日花火大会。今年は例年のようにイーストリバーの一ヶ所で開催されず、いくつかの地点に小分けして行われた。人混み回避にと、開催地点の予告なく、それぞれの地点でひっそりと打ち上げられる花火を偶然見ることができた人々だけが幸運に授かるという地味さで幕を閉じた。いつものような花火の音が地響きのように聞こえるザ・アメリカンな派手さがないのは少し寂しかったけれど、たまにはしずかな独立記念日も悪くないと思った。IMG_2635

アメリカ祝祭日の前日になると、ほぼすべての職場では半日か午前中のみ就業し、少しだけ早く休暇が始まる。その日のランチはケータリングやポットラック(持ち寄り)などで社内でもささやかに祝ったりもする。クリスマスや感謝祭など、日本のお正月に相当するホリデー前日には、郵便局やスーパーマーケットなども午後3時に閉まるところが多いのが習わしだ。

勤め人時代の筆者は、出来うる限りの祝祭日前日は有給を取り、連休を1日増やしていた。同僚たちは半日のために有給1日消費するのは勿体ないという。だが、貴重な人生の1日すべてを自分の意思次第で自分のために使えるというオプションがあるときに、半日働くためだけのためにわざわざ出勤することの方がよっぽど時間を無駄にしているという発想を持つ筆者にとっては、有休を数日分失うくらいちっとも惜しくない。有給を使い果たした後に休暇が必要になれば、無給の休暇をとればいい。お金は稼げば取り戻せるが時間は戻らない。好物はもったいぶって最後まで待たず迷わず先に食べるオレ。数分後に事故で死ぬ可能性は誰にも起こりうるのだ。今楽しまずして、いつ楽しむのか。

コロナ渦でタクシーや公共交通機関を避けるようになってから、徒歩には少し遠い目的地への移動に利用し始めた自転車だったが、今ではすっかり虜に。

シティバイクというレンタル自転車を利用している。12ドルで30分毎に街のそこかしこにあるステーションにチェックインすれば24時間乗り放題という便利なシステムだ。

そんなわけでこの連休は、いそいそと木曜の夕方からサイクリングに出かけ、セントラルパークまで足を延ばした。自転車をいったんチェックインし、長い散歩を楽しんだり、ベンチに腰掛けてぼんやりしたりなどして、帰宅して夕飯にありついたのが夜10過ぎだったほどの長い時間を公園で過ごした。

自宅からセントラルパークまで10ブロック、普段なら夕方は行かないが、連休前だし、がんばって足をのばした。すこし遠くても足をのばしたくなる理由に、緑が鬱蒼と生い茂り公園というより森のような場所というのももちろんあるが、そのほかにもある。歩行者と自転車に開放された公園内の広々とした道路は、プロ仕様の自転車で真横を猛スピードで追い越して行くサイクリストたちに怯えるストレス・フリーで自由に気持ちよく疾走できること。進行方向はほぼ全て下り坂になっているおかげで、あまり漕がなくても自然にスピードが出ること。

顔に受ける風にときおり混じる木々の香りが心地いい。オレンジと薄紫が混じり合う美しい夕暮れに刻々と染まりゆく森のなか、他の沢山のサイクリストたちと笑顔を交わしたり嬌声をあげたりして自転車に乗りながら、このハッピーな人々と一緒にずっとどこまでも走っていたい、コロナとか、人種差別問題で醜い諍いの絶えない国事情のこととか忘れていられるこの時間が永遠につづけばいいと思った。IMG_2604

翌日金曜はお昼前に出発し、街を駆け抜けた。自転車に乗るようになってから気付いたのは、マンハッタンには意外に多くの自転車道が設けられていること。おかげで結構遠い目的地へも難なく辿り着ける。それに、コロナ感染再拡大のニュースが騒がしいせいか、引続き人出も交通量も少なく、街中のサイクリングでも大いに楽しむことができた。

男という生き物について

夫は最初の頃サイクリングを嫌がっていた。だが今では筆者より遥か先をスピードを落とすことなくグイグイ走り、とても楽しんでいる。後日、嫌がっていた理由を聞いてみた。すると、最初は体力的に相当厳しく、体力低下という現実を突きつけられて愕然とし、落ち込んでいたそうだ。筆者も自己嫌悪に陥ることはあるが、同じ理由で落ち込んだことはないし、今後もないだろうと確信している。これを読んでくださっている女性(ヘテロセクシャルに加え、トランスジェンダーやゲイの方含む)のみなさまは、どうですか。

男っ気のない環境で育った筆者にとって、男性という異性の様々な習性を発見するたびに新鮮な驚きがある。そのひとつが男性の繊細さだ。車と時計に興味を示し、フットボールなど激しいスポーツ観戦を好む傾向にある男性という生き物は、生物学的に筋肉量や肺活量など体力面で女性より発達している。それらの表面的な男性要素を判断ベースに、精神的にも動じないタフなイメージを何となく勝手に抱いていた。だが、実際の男性は傷つきやすいハートのとても繊細な内面を持つ生き物だということを、全ての男友達と過去の恋人たちから学んだ。

さらに独断と偏見でいうなら、どちらかといえば男性よりも女性のほうが図太い神経を備え、意地の悪い考え方を持つ生き物なのではないか。そのイメージは、人生折り返し地点をとっくの昔に通り越したいま、ほぼ結論に達しつつある。

そんな人間の不完全さを、この世界では人間臭さとも呼ぶ。

ホモサピエンス。興味深い生き物。

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ぽっかりお月様

 

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セントラルパークに来るといつも岩たちに触れてエネルギーチャージする。マンハッタン自体この岩で出来た島なので、街そのものがボルテックス。エネルギーが非常に強い場所のため、元気のない人間は逆にエネルギーを吸いとられることもある。
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この時期はマンハッタン・ヘンジといって、ビルの谷間に日が沈む現象を見ることができる。いつもならカメラオタクボーイズに混じって信号が変わるのを待ち構え、道の真ん中に陣取り写真を撮りまくるのに、今年はどの道にも彼らの影はなかった。みんな、どこにいってしまったのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<本日は、とっておきのこの曲をお届けします。なんど聴いても涙が溢れてしまうので、聴くのは自宅のみと決めています> Silvio Rodriguez – Rabo de nube (邦題: 雲のしっぽ)

 

 

 

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