人生の大事なことは、みーんなみんな猫に教わった

自由奔放に生きてきた。

思い起こせば冷や汗モノな若かりし頃の自分の言動や行動は数えきれない。

子供の頃も猫を好きだったが、祖母が猫はなんだか気味が悪いと嫌っていたせいで、猫と暮らす夢は叶わなかった。そのかわり、家にはいつでも犬がいた。叔父たち家族から預かっていたポメラニアンのレオとマルチーズのサリー。それに猟犬のポインター、ガッツ。だが人間に忠実で甘い犬達は、筆者の尊大さを増長はしても、人生レッスンをくれる機会は皆無であった。

世界のことを全てわかったような気でいたティーンエイジャー特有の小生意気な年ごろには複雑な家庭環境に育った自分には我がままが許されて当然の権利があるのだと無意識にではあるが信じ込むようになっていた。

ダメ人間に訪れた転機

そんなダメ人間な筆者に転機が訪れたのは、23歳。猫と生活を共にするうち、相手の気持を深く汲み取って慎重に行動することを学んだ。

猫は基本的に、自分の気が向いた時に限って動く生き物だ。名前を呼ばれても、耳を動かすか、せいぜい振り向く程度。おやつやごはん時にも落ち着き払った威厳ある態度を崩さない。ベッドからのっそり起きだし、まずは大きな欠伸をひとつふたつ。前脚、そして後脚とゆったり丁寧にストレッチし終えてから食事をはじめる。機嫌を損ねると、プイと横を向く。嫌いな客には姿を見せず、断固とした態度を貫く。

私を教育してくれた猫は、はるばるサンフランシスコからニューヨークへ一緒に引っ越してきた。21年もの歳月を生きた彼は、最後の晩ごはんをいつも通りに食べて1時間ほど後、撫でていたら一度大きな伸びをして、まるで眠るように静かに息を引き取った。

現在一緒に暮らす猫たちは、ニューヨーク出身。

毎朝、鞭打ち症の一歩手前みたいな状態で目覚める。筆者の肩と首のLコーナーにぴたりとはまって眠る猫が、朝になるといつのまにか身体を伸ばしきって枕を占領しているため、頭が枕からずり落ちているせいだ。

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人見知りで甘えん坊の、まくら占領ねこ

もう一方の猫は、とても気難しい。いまでは撫でてくれとストーカーしてくるまでになったが、心を開いてくれるまでに2年ほどかかった。この猫との出会いは、当時の職場があったマンハッタンのユニオンスクエアにあるPetco内アダプションセンター。眼光鋭く凛々しい顔立ちで周りを寄せ付けないオーラを放ちpunkスピリット旺盛だった彼に一目惚れした。彼のフォスター・マザーだった人によると、ブルックリンの治安の良くないエリアで独りで生きていたらしい。おそらく、変な人間から嫌な目にあわされたトラウマから人間を警戒していたのだろう

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気難しいところもあるが、元気のない人間の側にじっと静かに寄り添っていてくれる繊細な感性と6本指の持ち主

撫でていて、彼が満足したのをうっかり見逃してしまうことがある。途端、ウザがられ、早くあっちへ行けとばかりな態度をされる。そんなときも筆者は、ハイハイ、ごめんね?などとなぜか謝って下手にでて、速やかに席を離れる。

猫と暮らすようになって以来、相当まるくなった。だが幼児虐待など腹立たしいニュースを見ると、こんな親死ねばいいなどと罵詈雑言を吐いては夫の眉を八の字にさせてしまう威勢の良さは相変わらずで、毒舌パンク精神は健在。バイオリニスト高嶋さちこ女史とは意気投合しそうだ。猫に対してこんなにも健気で低姿勢な筆者の姿を過去のボーイフレンド達が見たら、さぞかし衝撃を受けるのではないだろうか。

筆者の情緒育成にとてつもなく多大な貢献をした猫達には、大変世話になった。他の人々は、いったいどんなふうにして猫の世話になったのだろうかと、当初は単なる好奇心で大して期待せずにこの本を手にとった。服でもなんでもとにかく溜め込むのが嫌いな筆者は、本も読後は図書館へ寄付し処分するのが常だが、この本については、迷うことなく手元に残した。

『大事なことはみーんな猫に教わった』

『All I Need to Know I Learned from My Cat』

日本語訳版も原書とおなじくらい素晴らしい仕上がりなので、どちらでも読みやすいほうを。谷川俊太郎氏によるセンス冴え渡る訳文が秀逸。さすが詩人。

ロックダウン生活7週目のニューヨーク。引きこもり生活にもすっかり慣れ、最近では外食(もちろんテイクアウト)も取り入れるようになったし、慣れ親しんだピラティスの先生のクラスがオンラインで受けられるようになり、身体メンテナンス不足によるストレスも解消したし、それなりに楽しんでいます。

Covid-19について、世界中の専門家があーでもないこーでもないと言っているが、実のところは誰一人として解っている者が存在しない、というのが図星ではないだろうか。新型ウィルスなのだから当然であろう。不安を煽るだけのニュースやコロコロ変わる意見には耳を貸さず、ニューヨーク州クオモ知事が冗談を交えながら毎日欠かさず丁寧にわかりやく報告してくれる現実を把握し、外出自粛、手洗いとソーシャルディスタンシング、調達した品々のパッケージ消毒を地道にコツコツとひたすら行い、あとはいつも通り楽しんで生きていれば、そのうちに夜は明ける。

ついにCitibikeデビュー!車がほとんど走っていないガラガラに空いているマンハッタンを自転車で駆け抜けるのは想像以上に爽快でした。

<本日の1曲> Frank Sinatra – Brazil

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