ドラッグのこと

ドラッグには、違法と合法のものがある。違いは、違法か合法か、ただそれだけのことであり、双方ともにドラッグであることにかわりない。

禁酒法時代、ケネディー家

世界的に共通する合法ドラッグといえば、アルコール飲料とタバコ。アルコールだって、その昔は違法ドラッグであった。禁酒法時代にお酒を売って一財産を築いたといわれるケネディ一家。アメリカ人はケネディー一家を貴族のような存在に思っている人が多いというが、それは大間違い。ケネディー家はもとはアイルランドからの貧しい移民一家。JFKの父上がおおっぴらには言えないようなビジネス法で莫大な財産を築き、マ◯○アとの繋がりがあったともいわれる。ケネディー家の男たちが不審な死を遂げるのは、そのおおっぴらには言えないような手口で財産を築いたことに起因していると囁かれているのは、多くの人の知るところである。もちろん、真相については謎に包まれたままであり、この情報には全く信憑性はないとお断りしておく。

文化的な見解の差

アルコールやタバコの年齢制限は各国によって差がある。ドイツでは、軽いアルコール含有量のビールやワインなどは親と一緒なら１４歳から、公共の場では１６歳から合法で楽しめることを、大学時代にドイツから留学していた友人に聞いた。友人の説明によると、禁止したってどうせ隠れて飲酒するのは目に見えている、そうなると過剰飲酒のリスクなどかえって危険である。それならば堂々と親の監視下や公共の場で早くから飲めるようにしたほうが、より健全という考えなのだそうな。妙に納得したのを覚えている。子供というのは禁止されている未知なるものに興味が湧き、試してみたくなる生き物ではないだろうか。

私が１８まで育った父方の家ではお酒を飲む習慣がなく、家には一切アルコール類は置いていなかった。初めてアルコールを口にしたのは高校生のとき、親友の自宅に遊びに行ったとき。親友に外へ行こうと誘われるまま従った。少し高台の、視界の拓けた場所まで歩き、ガードレールだかに腰掛けた。彼女が持参したバッグにはシードルという林檎酒（アルコール含有率１%くらい？）とタバコが入っていた。タバコは遠慮したが、シードルにはおそるおそる口をつけてみた。炭酸の効いたりんごジュースの味のするシードルを、美味しいと思ったことを覚えている。それが最初で最後に未成年時に口にしたアルコール。親友は高校卒業後ファッションデザイナーへの道を目指すことになるのだが、その頃からおませさんで、大人っぽい服を好み、モードなお化粧法など流行に敏感な子だった。二人でよく横浜の7th Avenueや新宿ロフトなんかへバンドをみに行っては思い切り汗をかいて夜遅く帰宅することが多く、そんな日は大抵彼女の家に泊まった。

違法ドラッグと合法ドラッグ

アメリカでも芸能人が違法ドラッグを使っていることが露見するのは珍しいことではない。だが日本のようにニュースになることもないし、仕事を干されるというような状況にもならない。本人が世間に謝罪することもない。ファンも世間からも、裏切られた、という声は聞こえてこないし、本人が更生するのを応援する。なぜなら、違法ドラッグ中毒者は違法ドラッグ中毒者は悪者ではなく、被害者だという考えが教養の一部として一般的に浸透しているからだ。ボロボロの中毒者になることなんて最初は想像できないから気軽に手を出してしまう。想像できないからこそ、いったいどんな快楽を味わえるのか試してみたくなる。そして快楽が脳に刻み込まれ、逃れられなくなってしまうという悪循環に陥る。

合法であるアルコールだってタバコだって、ドラッグだ。繰り返し摂取したくなるのは中毒になっている証拠。私はワインやシャンパンを飲むのが好きだし、喫煙者。立派な中毒者である。日本でドラッグ中毒者として渦中の芸能人との違いは、私が中毒にかかっているドラッグが単に合法である、というだけの話であり、摂取しているものはドラッグであることにかわりないのだ。

それでも、法律は守るためにあるものなので、健康のためにも違法ドラッグには近づかない、そして合法ドラッグもほどほどに、がいいでしょうね….. 自分が喫煙者なので、くるしいかんじ！

＜本日の1曲＞ Lust for Life (映画トレインスポッティング２より）

こちらはイギー・ポップ本人のチャンネル発信のクリップ。若い頃は筋金入りのドラッグ中毒だったイギーも、いまではこんなに元気いっぱい。