ニューヨークで人気上昇中のレストラン Kochi

2019年末のオープン以来、毎晩満席のKochiは、オープン前から既にFood criticsやライターから注目を浴びていた。それもそのはず、Kochiをオープンしたのは、2007年よりミシュラン3つ星記録を更新し続けるニューヨークの人気高級フレンチPer Se、同じく現地で人気の高級和食Netaで修行した気鋭の若手シェフ。彼は30代前半くらい、他のシェフやスタッフたちも20代前半くらいだろうか。お店も活気に満ち溢れている。

自宅から目と鼻の先に開店したKochi。着々と進む内装工事の様子を、店先のガラスを保護している紙の隙間からジロジロと眺めること数ヶ月。開店後、ガラスのドア越しに店内の様子を伺っていると、かわいい柴犬と散歩中の男性が、試す価値大アリだと言っていた。高まる期待。ちなみに、柴犬はアメリカ人に人気がある。キュッと吊りあがり気味のつぶらな瞳とクルリとまるまった尻尾が魅力的らしい。近所で柴犬を連れている人を頻繁にみかける。

私が暮らしているマンハッタンのヘルズキッチンというエリアは、タイムズ・スクエアへ歩いて5分ほどという立地ではあるが、このエリアの昔の名残である下町の空気感漂う、リラックスした落ち着いた雰囲気。SoHoあたりを闊歩しているような、メイクもファッションも隙のない、泣く子も黙るアメリカ版Vogue編集長アナ・ウィンター的ガールズはあまり見かけない。そんなわけで、長らく空き家だったグロサリー・ストア跡地の工事がはじまっても、Kochiのようにコースメニューだけで勝負するレベルの、ハリウッド俳優や有名モデルが数多く住まうウエストヴィレッジ界隈でよく見かけるような小洒落たレストランが出来上がるとは全く想像していなかった。

Kochiがオファーするのは、韓国宮廷料理とフレンチを融合させた、ニューヨークでかつてない斬新な料理。9コースで構成されたテイスティング・メニューは75ドル。マンハッタンでは比較的低めに抑えられたコストなので、懐を痛める心配なしに気軽に試せることも開店早々から混雑を極める理由ではないだろうか。追加料金で2コース目のスープにキャビアを、最後のごはんものにウニをのせるオプションがあり、デザートのアイスクリームに至るまで全てのディッシュが串刺しでプレゼンされる。話をきいた当初『近所だし、応援するつもりでちょっと行ってみよう』と乗り気な夫を横目に、『韓国料理とフレンチ?なんか合わなそう。串刺し?食べずらそう。』などと、頭の硬いことを言い、それほど乗り気ではなかった。予約がずっと満杯で、やっと割り込むことに成功したのが先週金曜の9:45pm。感想はというと。。。。

大満足。華やかで繊細な盛りつけと、ひとつひとつの皿に添えられた凝ったソースにPer Seで鍛えたシェフの技術とセンスが光る。唯一韓国料理フュージョンとわかるのは、ビビンバ(韓国の混ぜご飯)をアレンジしたディッシュだが、韓国料理のフュージョンと説明がなければ気づかないほどにフレンチ寄り。

シトラス系のさわやかなソースが添えられたハマチのカルパッチョ風サラダにはじまり、スープ、揚げ物、魚、チキン、ポーク、ビーフで構成されたコースは、全体的に軽やかにまとめられている。

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ハマチのカルパッチョサラダ
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松の実とポテトのスープ。中にはコーン入り揚げもの。スープというより、ソースを食しているような濃厚さ。+15ドルでOsteriaキャビアをのせました。
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Yam芋グラタンの揚げもの、豆乳ソース添え
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備長炭でグリルした鰆と茄子、微妙に韓国風味を効かせたソース
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ポークのグリルに甘味噌に似た味のソース
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Rib-eyeビーフとエリンギの炭火焼、栗と黒大蒜のピュレ

Kochiは現在リカーライセンス申請中のため、BYOB(Bring Your Own Booze=酒類持参)で、私たちの飲み物はペリエだけだったのだけれど、全てのお皿を綺麗に平らげた。食後に感じたどっしりとした満腹感は、やはりフレンチだなと思う。濃厚なソースにはバターとかクリームなどがたっぷり使われているにちがいない。メインのビーフのあとには、小さな器に彩り鮮やかなトッピングがお花のように飾られたごはんものが出てくる。添えられたスプーンのまんまる部分が直径2センチくらいの小ささ。その繊細なかわいらしさに、中身はオヤジなオレでさえも乙女心をくすぐられた。

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玄米を焼き海苔のピュレとバターで風味付けしたもの。トッピングの赤色のは明太子スライス。緑色のはワサビ風味とびこ。ピンク色のはさくら大根みたいな味がした。食べ進むと器の底に敷かれたチリメンジャコの甘い佃煮が登場し、飽きさせない。

デザートは黒ごまアイスクリーム。リボンの真ん中の部分のような形状にふくらんでいるキンキンに冷えたお皿で。まぶしたゴマパウダー効果で食べ終わるまで見事に溶け崩れない。

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地味な見た目からあまり期待せずに口にいれたデザートのアイスクリーム。いままで食べた黒ごまアイスクリームのなかでダントツトップ。

お店の内装、照明、お皿、カトラリー類に至るまですべてセンスよく整えられていて、味覚と同時に視覚も存分楽しみました。おめかしして出かけても浮くことはありませんが、気取らないお店なのでカジュアルな服装でOKです。酒ライセンスを申請中のいまは、BYOB(Bring Your Own Booze酒類持参)で通常発生するコルクチャージ(持ち込み料金)なし。

 

 

Kochiおすすめです。

<本日の1曲> The Strokes – Someday