京都にて

今夏の日本の旅では、夫の親戚を訪ねて京都に立ち寄った。京都を訪れたのは2度目だが、なにしろ1度目は修学旅行で訪れ、駆け足で要所をまわり、清水の舞台のあまりの高さに度肝を抜かれたことが強く印象に残っている他、ほぼ記憶にない。そんなわけで今回が初訪問も同然といえよう。_DSC4966

永劫の伝統美が息づく街

京都には、揺るぎない文化がある。美を追求し丹念に造られた街並みに、造り手のプライドを感じた。深い歴史・文化のある土地の人々には、品格とセンスが備わっている。なぜか。それは、幼い頃からこの素晴らしい街並みと建造物、落ち着いた「大人」の中に育つ過程で自然に培われた誇りと自信が備わっているからに違いないと確信した。_DSC4998

はんなり京女

地元の方らしき女性達が大人の美しい女性ばかりなことも、京都を気に入った理由のひとつだ。年齢相応な落ち着きのある日本の大人の女性たち。美しいものを眺めることは心の平穏を保つ。自分の美しさに自信を持つ彼女たちは、髪の色やファッション、化粧法までも白人に似せるのは不要であることをよくご存知なのであろう。

彼女たちの出で立ちも素敵であった。上品でシック。

全体的に黒を身につけている女性が目立つところが、ニューヨークの女性たちに通づるものがある。京の街には、等身大の美しい大人の女性たちがいる。日本女性に時々みられる、年齢不相応な若作りファッションをしている女性を見かけなかった。年齢不相応な装いとは、例えば、20 代半ばあたりを過ぎてもベビードール型のドレスを着ているような装いを指す。

若くみられることと、幼くみられること

若く見られることと幼く見られること。同じような意味合いにも聞こえるこの二つの言葉の間には天と地ほどの大差がある。早くも幼少時から大人の女に成長することがステータスであるかのごとく、競うように大人びた化粧やドレス、ハイヒールなどを身につけては大人の女の真似事をするのが一般的な西洋文化のなかで10代から生きてきた私にとって、酸いも甘いも経験し長い時を経て培った教養ある立派な大人の女に成長した自分を、世間に向けてわざわざ幼くみせるプレゼンをしたい女の心境が不思議でならない。ジェフリー・エプスティーンのようにペドフィリア(幼児性愛者)でない限り、理知的で成熟したいい男が幼い女を相手にすることはない。dsc4991.jpg

パリと京都

京都には心から感服した。猥雑な広告看板が見当たらない(少なくとも私は目にしませんでした)美しい街並みは、パリを訪れたときの感動を思い起こさせた。

タクシーの運転手さんの小噺が、さりげないが実に博識であった。ホテルから清水寺までの道中の所々に纏わる歴史から、ゆかりの小説家のプライベートなお話などエンタメ系まで織り交ぜた気の利いた小噺のおかげで、車での移動がたいそう楽しいものになった。

年配の運転手さんがオススメの観光エリアを紹介してくださる途中で不意に数秒ほど沈黙があり「…… インスタ映えしますでしょうな」と締めくくった。おそらく未だ使い慣れておられない《インスタ映え》という部分がやや小さな声になっていたのが微笑ましかった。

_DSC5022 copyところで、私は人や場所の気というか、うまく説明できないが、エネルギーのようなものを感じ取ってしまう。しまう、と書いたのは、それがありがたいものではないから。場所によっては具合が悪くなることがある。初対面の人の本質を見透かしてしまう。ときには知らぬが仏なこともあるので、ありがたくないのだ。無駄なストレスを出来るだけ回避するために、握手はなるべくしないようにしている。握手が初対面の挨拶に欠かせないアメリカでは、風邪をひいていると相手に伝えて握手を避けるのが、いまのところベストな言い訳だ。

そんな私が京都駅に降り立ちすぐに感じとったのは、爽やかな風が吹き、良い香りの漂う、落ち着いた気。東京には、いろんなエネルギーがごった返し、昔から残る街の部分が少なすぎるせいなのか、不安定な気が流れている。だから東京滞在中は、いくら食べても空腹が満たされないような、のぼせたような具合になり、数日間滞在すると疲弊する。私が暮らすニューヨークもかなり色々な気が混じっている街だが、100年前の建物などザラにあり、古いものの比率が非常に高い街なので、気のバランスが取れているのだ。

次回の日本の旅は、東京には立ち寄らず、京都をはじめとする日本文化が色濃く残る街を訪ねてみたい。

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サウザンド京都ホテルのエントランス(出口に向かって)

 

ザ・サウザンド京都、おすすめホテルです。上の映像は、エントランスの通路を通るときに正面に見えるオブジェ。このマジカルなオブジェに魅せられて、到着直後に夫を放ったらかしにして、しばらく見入っていました。

新幹線の駅から歩いて5分程なので、ひとまず荷を下ろして落ち着いてから、すぐに観光へ出かけられます。ホテルのロビーから部屋のつくり、アメニティに至るまで近代的ながらも和が主張しすぎずセンス良く融合されていて、申し分なし。

<本日の1曲はビル・エヴァンスをお届けします。彼が奏でる正確でキレのあるピアノの音色は、脳がチューンアップされるような心地よさ。> Bell Evans – Waltz for Debby