
Alberto Giacometti(アルベルト・ジャコメッティ)
通っていた大学の校舎が街中に点在していたことで、クラスによっては移動を余儀なくされた。その移動の途中に、いつも佇んで見とれていた彫刻がある。大好きなアーティスト、ジャコメッティの作風に通ずるものがあったから。


ジャコメッティのことは、美術史のテキストブックに載っていた作品の写真をみて、すぐに大ファンになった。でも、作品の実物をこの目で見ることが出来たのは、それからかなり先。2018年6月ニューヨークのグッゲンハイム美術館で開催されていたコレクションでのこと。
好き=共鳴
たとえば好きな音楽家のアルバムを聴いていて、違和感を覚える曲=あまり好かない曲があるのは、わりとよくあること。だがジャコメッティの作品にそのような違和感を感じるものは、ひとつもなかった。それ以上でもそれ以下でもない、そのかたち以外にはありえない細長い作品群に囲まれていると、気心の分かり合える仲間にやっと出会えたような、安堵感を伴う嬉しい気持ちで満たされた。
ひとつひとつ食い入るように見ていたら、いつのまにか閉館時間が迫っていた。焦って満足のゆく写真が撮れなかったのが心残り。

長いものに巻かれるのは断固拒否するが、細長いものはWelcome
赤ん坊の頃から細長いフォルムに惹かれる傾向にある。三つ子の魂…とは案外当たっているのかもしれない。
キリンがこのうえもなく好きだ。
私が赤ん坊の頃、毎日にように手元にあるおもちゃを片端から窓の外へ投げ捨てていたらしいのだが、プラスティック製のキリンだけは1度も捨てたことがなかったという。放り出されたおもちゃ拾い集め役だった姉の記憶なので、確かな情報であろう。

ほっそり長〜い姿かたち。優しげな大きな瞳に長いまつげ。毛皮の色合いと模様。子供を守るためならライオンにも挑んでゆくときの迷いのない勇姿… キリンの全てが愛おしい。



<おまけ>

ジャコメッティ展のあと、グッゲンハイム美術館から近いCooper Hewitt Smithonian デザインミュージアムが開いてたので立寄る。ミュージアム地下階に置いてあるこの椅子は、座って上体を360度どの角度に傾けても自転し、しっかり捕まっていないと振り落とされるほどの結構な勢いで回転する。回転の勢いで振り乱れる私の髪。
これに乗ると笑いが止まらないのだ。楽しすぎて。まわりの人々と共にアッハッハッハと高らかに笑い声を響き渡らせ、童心に返ったひととき。