「君好みの、いちばん凛々しい顔しているのを選んできた」
昨年末、相方に連れられ我が家にやってきた猫は、ASTIER de VILLATTE(アスティエ・ド・ヴィラット)セツコ・コレクションのひとつで、お香焚きにもなる置物。


アスティエ・ド・ヴィラットは、パリにアトリエとブティックを構える陶器メーカー。黒い土を土台に白い釉薬をかけた独特の風合いが魅力だ。
セツコ・コレクションの想像主は、かのピカソも「20世紀最後の巨匠」と讃えた天才画家、故バルテュスの奥方である節子・クロソフスカ=ド=ローラ伯爵夫人。着物を華麗に着こなし、気品があり、たおやかで美しいお花のような女性。
夫人が上智大学外国語学部フランス語学科に在学中の20歳の時、来日中だったバルテュスと出会い、1967年に結婚。
バルテュスは、当時フランスで初代文化相を務めていたアンドレ・マルローより、パリの展覧会のために日本の伝統的な芸術作品を選ぶ仕事を任されており、日本に派遣されていた。
はるばると大西洋を超え我が家へやって来た猫は、今日もゆったりと煙をくゆらせながら真っ直ぐに前を見つめている。
その視線の先には、生まれ故郷パリの情景が写し出されているのかもしれない。
<本日の1曲>
Ben E King – Stand by Me
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