ヘルズキッチンのオススメ第一弾は、私がほぼ毎週末立ち寄るSullivan Street Bakery(サリバンストリートベーカリー)をご紹介。

オーナーのJim Lahey氏は、彫刻家を志していた美大生時代イタリアを旅する。帰国後、イタリアで食したようなパリッと香ばしく美しく焼きあげられたパンを提供するベーカリーがニューヨークに存在しなかったことから、自ら同じ味を再現すべく研究を重ね、1994年満を持してSullivan Street Bakeryをオープン。翌年James Beard Award Outstanding Baker賞受賞。


ちなみにJames Beard Awardとは、ミシュラン4つ星 BoulayのオーナーDavid Boulay氏(残念ながら、Boulayは2017年閉店。)、ミシュラン2つ星 DanielのオーナーDaniel Boulud氏、Dean & DeLuca創業者 Giorgio DeLuca氏など錚々たるメンバーが受賞した権威ある賞。他にも有名シェフ達が受賞者リストに名を連ねていますが、ここでは私が個人的に気に入るお店を例にあげました。
良質な素材が丹念に調理され、主張しすぎず繊細で絶妙な塩加減で口当たり軽く、いつも軽く2つは平らげます。
全て美味しく甲乙つけがたいですが、なかでも一押しアイテムは次の7つ。

焼きたてバゲッドに半熟卵サラダ、超薄切りなフワフワ生ハム、程よい量のチーズがトッピングされたオープンサンドPROSCIUTTO TARTINE。いつもすごい勢いで売り切れてしまいますが、材料さえ残っていれば作ってくれますので、見当たらない場合はスタッフにお尋ねください。

ズッキーニがジューシーで甘い。ズッキーニって、こんなに美味しいものだったの!?ニューヨークで天ぷらの盛り合わせをオーダーすると、大概の場合混ざっているズッキーニ。ナスと少し似通った食感のそれは決して美味しくなくはない。でもやはり茄子の天ぷらには到底叶わなくってよ、などとズッキーニを見下し気味に遠巻きにして眺めていた私には、衝撃的な味でした。
余談になりますが、ズッキーニといえば、フランス映画『僕の名前はズッキーニ』(原題:Ma vie de Courgette)。孤児院で暮らす、様々な事情を抱えた子供達のお話。かわいい人形達と、監督の温かい眼差しが伝わって来るようなカラフルな映像が、暗い気持ちにならずに観られます。押し付けがましい説教や自己憐憫に陥らないところに共感。複雑な環境で育った私にとっては特に、感慨深い映画でした。オススメ。
<僕の名前はズッキーニ予告編>
美味しいもののお話に戻りましょう。

ローズマリー、玉ねぎと一緒に調理されたポテトスライスが幾重にも重なってトッピングされたポテトピザの生地は、ピザというよりもパイ生地に近いサクサク食感。
甘みのある玉ねぎと絶妙な塩加減に調理されたマッシュルームが後を引くマッシュルームピザ。
何種かある他のピザも含め、ピザというより日本のお惣菜パンに近い。

外皮はサクサク香ばしく、中は軽やかながらモッチリ弾力ある生地のCORNETTO(クロワッサンのイタリア語)。フレンチスタイルのクロワッサンとはまた違った食感が目新しい美味しさ。

しっとりローストビーフ+オリジナルに調味されたペーストにルッコラの苦味が絶妙ハーモニーを奏でるROAST BEEF (ローストビーフサンド)。

時々しか見かけない貴重なツナサンド。丁寧に調味されたケイパー入り荒ほぐしツナサラダが絶品。
ローストビーフサンド、ツナサンドともに大きなパン+しっかり詰まった具でボリューム満点・食べ応え充分。ピザのトッピングをはじめ、食材ひとつひとつの味が生きていて、一口食べる毎に幸せを感じる。
スタッフ達はいつでも感じよく、南向きの店内は明るく清潔で居心地よし。
焼きたてのパンを楽しみに、週末はすっかり早起きになりました。いつも寝起きで直行。

テーブルは25人ほど座れればいい方なので、混雑で座る場所を確保できない場合もある。そんな時はTake Outにして、ハドソン川ほとりの公園Hudson River Parkでの朝食もまた格別。公園は、店を出て右に1ブロック半歩いてすぐ。

公園での朝食後は、公園をそのまま南へ15分ほど下った場所にある話題のHudson Yardsまで足を延ばしてみたり、Citi Bikeというレンタル自転車で公園沿い南北に伸びる自転車専用道路を風を切って走るのも爽快。
Citi Bikeは市内各所に停留所が設けられており乗降便利なことに加え、地下鉄やバス、タクシーで移動するよりも街中の細かな様子までみられるのが利点。
南北に伸びるハドソン川沿いのサイクリング・コースは、南(ダウンタウン方面)へ下るコースが、そびえ立つ圧巻の摩天楼景観を堪能できて、断然オススメ。

日本同様、ニューヨークにもサイクリング・ルールは当然存在します。ご自身の安全のためにも、最重要な次の4点は守られるよう十分ご注意を。1. 歩道では自転車から降りて歩く、2. 自転車専用道路および車道では進行方向に従って走る、3. 車用の信号に従う、4. 13歳以下の子供はヘルメット着用必須。

Sullivan Street Bakery
ヘルズキッチンおすすめシリーズ第二弾はこちら。
<本日の一曲>
David Bowie – Starman